災害をもたらした気象事例

昭和42年夏の高温・少雨
昭和42年(1967年) 5月~10月
全国的な春から続いた少雨傾向と夏の高温
災害概要
農作物被害682億円
算出期間:7月
被害地域:近畿地方~九州地方
(農林水産省統計部資料)
概要
 5月中旬から東北地方以南の地方では雨が殆ど降らず、利根川も大渇水となり、田植え期と重なった東日本では水不足から田植えのできない地方が続出した。5月末~6月22日頃、上空に寒気が南下しやすかったため、関東甲信越地方、東北地方などで雷雨が多発し、東北地方の水不足は解消に向った。7月前半は梅雨前線の活動が活発化し、西日本を中心に大雨が頻発した。月中頃に各地で梅雨が明けたが、梅雨明け以降は九州地方北部と瀬戸内海沿岸地方を中心に西日本では少雨が続いた。8月は道南地方、東北地方の北部および日本海側、北陸地方、東海地方などでは前線、低気圧、台風などの影響を受けたが、西日本、道央・道東・道北地方、関東地方は一部を除いてこれらの影響を殆ど受けず、少雨が持続した。9月は12~24日オホーツク海高気圧が現れ、関東地方~北海道では前線や低気圧が停滞することが多かったが、西日本はこの影響を殆ど受けず少雨が続いた。10月は1~7日、本州南岸に秋雨前線が停滞したが、西日本の干ばつ地帯には殆ど降雨が無かった。13日頃、日本海を北東進した低気圧にともなう寒冷前線の影響により、九州地方北部や中国地方に20㎜前後の待望の雨が降った。その後15~26日、本州付近は大陸の高気圧に緩やかに覆われることが多かったが、下旬後半に愛知県南部に上陸した台風第34号による降雨で西日本の干ばつは完全に解消した。
 この干ばつにより水陸稲、野菜、果樹などの農作物に被害が発生した。水稲の作柄は作況指数の全国平均が112の豊作となった。しかし、北九州を中心とする西日本では記録的な干ばつで、かんがい施設の十分でない地帯では干害が増大し、とくに長崎県では平年を大幅に下回る不作だった。
 上水道関係では9月16日に佐賀県武雄市で完全断水、10月上旬には熊本県牛深市でも完全断水となった。
経過図(熊本) 夏季平均気温平年差図
期間内での観測値
気象官署での観測値
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