オープンセル

衛星画像で、雲のない領域を取り囲んだドーナツ状あるいはU字状の雲パターンをオープンセルと呼ぶ。 図1(左図)のように対流性の雲から成るオープンセルは、雲のない領域で下降し、取り囲む雲壁で上昇する鉛直循環を持つ。 風速や風向の鉛直シアが小さい時はドーナツパターンを維持するが、鉛直シアが大きくなったり風速が強くなると環状部分が崩れたり、オープンセルパターンにはならない。

Baderetal.(1995)は、オープンセルの形状は下層の風速によって図2のように変化するとしている。 これによると、下層の風速が20kt以下のときは、多角形またはドーナツ状に見えるが、風速が20ktを超えると雲の無い部分を取り囲むリング形の雲が崩れ始め、U字形状となる。 風速が大きくなるのに従って不規則さを増して、流れに沿って広がる形が多くなる。

オープンセルは、気温と海面水温の温度差が大きいときに発現する。これは、オープンセルが海上の暖流域あるいは強い寒気場内で発達することを表し、 発達した低気圧後面から流入する寒気の強さを推定できる指標にもなる。下層で低気圧性の流れの強い(通常は寒気移流が強く、気温と海面水温の温度差が大きい)領域で発現しやすいと言うこともできる。

図3は、2016年2月12日00UTCの可視バンドによるTrue Color RGB画像で、寒気場となった日本の東海上には多種多様な雲パターンが出現している。 その中の雲パターンOがオープンセルで、おおよそ低気圧性の循環内に存在している。図4は、そのときの地上天気図である。

オープンセル(左)とクローズドセル(右)のモデル図 図1 オープンセル(左)とクローズドセル(右)のモデル図(浅井,1983)より引用
風速(ノット)によるオープンセルの雲形変化 図2 風速(ノット)によるオープンセルの雲形変化
矢印が風向を表す(Baderet et al.1995より引用)

TrueColor画像 図3 True Color RGB画像 2016年2月11日00UTC
地上天気図 図4 地上天気図