画像特性(バンド16)

バンド16は、13.3μmに中心波長を持ちます。このバンドは図1に示したように大気中の二酸化炭素の吸収の影響を受けるのが特徴です。他の衛星に搭載されている類似のバンド帯を含め通称CO2バンドとも呼ばれています。

バンド16の画像をバンド13の画像と同じ輝度温度の範囲で比較すると、一様に輝度温度が低いため、画像全体が白みをおびています(図3)。これは前述のように13.3μm帯は大気中の二酸化炭素(と水蒸気)による吸収の影響を受けるためです。

図4にバンド13とバンド16画像の輝度温度の比較を示します。積乱雲(Cb)などの厚い雲域ではバンド13とバンド16画像の輝度温度の差は小さいですが、下層雲や雲のない海面などはバンド16画像の輝度温度は低く、バンド13との差が大きくなりっています(図2)。

これは下層雲や雲のない海面などは、途中経路にある下層大気中の二酸化炭素等の吸収を受け輝度温度がより低く観測されるためです。なお、二酸化炭素は対流圏におおよそ均質に分布していますが、対流圏では鉛直の気温構造や水蒸気の分布が絶えず変動しており、画像ではもちろんバンド16の情報のみで二酸化炭素の分布を正確に(定量的に)算出することは困難です。

図1 赤外バンド波長(波数)帯における大気中の気体分子による吸収特性。縦軸は透過率、横軸は波数、赤線と最上段の赤字はひまわり 8 号の観測バンドを示す(Clerbaux et al., 2011 に一部追記)。
図2 バンド16画像とバンド13画像の輝度温度の違い。
図3 バンド16(上)とバンド13(下)の画像比較。
図4 バンド13(上)とバンド16(下)の画像・輝度温度の比較。右側の輝度温度の等値図は左側の画像の一部をそれぞれ拡大したもの。