画像特性(バンド4)

バンド4の中心波長は 0.86μm です。欧州の衛星機関、EUMETSAT が運用している MSG(搭載放射計 SEVIRI)にも中心波長・特性が近い観測バンドが搭載されているため、すでに活用されている波長領域です。 バンド4画像は特に植生に対して高い反射率を示す特徴があります。バンド4およびバンド3付近の観測波長帯における地表の状態別の反射率を図1に示します。 バンド4の観測波長付近では植生(牧草・広葉樹)からの反射率が高いことがわかります。

また、この画像からは植生の分布がわかるほか、森林火災などの焼け跡がわかる場合もあります。図2はS-NPP/VIIRSのM7バンド(0.865 μm)によるカリフォルニアで発生した山火事の例で、左側は山火事発生前の2013年8月13日、右側は山火事発生後の 2013年8月30日の画像です。

また、可視画像と同様に海面からの反射率が小さいため、反射率の大きい陸地とのコントラストが大きく、海岸線を明瞭に識別できます。この特性を活用して、海岸浸食や洪水、津波被害の監視に利用できる可能性があります。このほか可視画像と同様に太陽光の当たる領域での雲域や霧、雪氷域を識別できます。図3は、海陸のコントラストの違いの例です。

図1 バンド4およびバンド3付近の観測波長帯における地表の状態別の反射率(CRTM(Delest P and Han Y, 2008)で使用している地表面の反射率、 データ元は NPOESS。(都市部コンクリート:赤線、砂地:茶線、広葉樹林植生:緑線、牧草地:黄緑線、積雪:水色線)。
図2 S-NPP/VIIRSのM7バンド(0.865 μm)による画像(カリフォルニアで発生した山火事)の例。左側に山火事発生前の2013年8月13日、右側に山火事発生後の2013年8月30日の画像を示す。右側の画像中央付近に焼け跡の暗い領域(赤い矢印)があり、領域のふちに沿って火災による煙と「火災積雲(火災や火山活動に伴って生ずる濃密な積雲)」(青い矢印)が見られる(GOES-R Program Office, 2015-2016: ABI Bands Quick Information Guides, GOES-R ABI Fact Sheet Band 3 (The “vegetation” near-infrared band))。
図3 各衛星画像における海陸のコントラストの違いの例。バンド3(右)に比べてバンド4(左)の海岸線が明瞭。