極軌道気象衛星データの受信

地球の両極の上空を通る軌道又はそれに近い軌道傾斜角(赤道と軌道のなす角)を持つ衛星を極軌道衛星と呼びます。 地球が自転していることから、極軌道衛星は、北極と南極の上空を通過しながら、 高度約850kmの低軌道を周回するため静止気象衛星に比べ範囲は狭いが地球上のあらゆる場所を対象にすることが可能で、 1日に2度同一地点を観測できます。また静止気象衛星では観測が難しい高緯度地方を高頻度で観測することが可能です。

極軌道衛星の軌道
極軌道衛星の軌道

受信する衛星

1963年にWMO(World Meteorological Organization)が立案したWWW(World Weather Watch)計画の基本構想の中で気象衛星観測システムは、 静止気象衛星5 機を赤道上空に等間隔に配置し、極軌道気象衛星 2機を 6 時間間隔で飛翔させることで、全球にわたる広域の連続した気象観測の実現を計画し、 これに基づき、世界各国から気象衛星が打ち上げられ、多くの衛星が運用されています。 気象衛星センターは、1968 年に前身である気象庁気象通信所において、 極軌道気象衛星の受信を開始して以来、その観測データを気象庁の業務に活用しています。 2021年6月現在、気象衛星センターでは、NOAA-18、19、20号及びSuomi NPP並びにMetopA、B、Cの極軌道気象衛星7機からの観測データを、直径3.6mのアンテナで直接受信しています。

極軌道衛星受信アンテナ
極軌道衛星受信アンテナ塔
受信用アンテナ
極軌道衛星受信アンテナ

極軌道衛星に搭載しているセンサーの一例

気象衛星センターで現在受信しているNOAA-18、19号及びMetop-A、B、Cには、AVHRR(Advanced Very High Resolution Radiometer:改良型超高分解能放射計)、 ATOVS(Advanced TIROS Operational Vertical Sounder:改良型タイロス実用鉛直サウンダー)等が搭載されており、 観測したデータには、「ひまわり」の観測では得られない気温・水蒸気の鉛直分布などの情報が含まれています。 また、Suomi-NPP及びNOAA-20号のVIIRS(Visible Infrared Imaging Radiometer Suite :赤外可視放射計)に搭載しているバンドの内の1つに DNB (DAY NIGHT BAND)とよばれるバンドがあります。特徴は夜間でも可視画像の観測が可能で、「ひまわり」には無い機能です。 ただし、月の明かりを利用しているので新月に近づくと次第に反射が少なくなります。

VIIRSのDNBバンドの画像例
VIIRSのDNBバンドの画像例