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台風による水温低下

台風が通過すると、台風の経路に沿って帯状に海面水温が低下している状態がみられます。

四国沖ブイロボットの観測データ

四国沖ブイロボット(下図参照)の観測データ(1988年10月6日〜9日、1988年台風第24号通過時)

上図は風速(m/s)と海面水温(℃)を示します。

北西太平洋海面水温図および1988年台風第24号の経路図

1988年台風第24号の経路図および四国沖のブイロボットの設置場所

「台」は午前9時(日本時間)の台風の位置を示します。
「ブ」は四国沖のブイロボットの位置(北緯29度、東経135度)を示します。


台風による海上での強い風により、海面での蒸発は盛んになります。この蒸発によって海面から熱が奪われるため、海面水温は低下します。 しかし、台風による海面水温の低下に最も影響を与えているのは、台風による反時計回りの風によって海面下の冷たい海水が引っ張り上げられる湧昇と呼ばれる現象です。また、台風による強い風が、海面下の冷たい海水と海面の温かい海水をかき混ぜる効果によっても、海面水温が低下します。

湧昇の効果は、強い風が同じ場所で長期間吹くほど顕著となります。このため台風がゆっくり移動しているときほど、海面水温の低下は大きくなります。

なお、海水の蒸発により大気に供給された水蒸気は、大気中で凝結して雲を作ります。凝結するときに、水蒸気が熱を大気に放出するので、台風の発達を促すことになります。海面水温が高い海域で台風が発達しやすいといわれているのは、海洋から大気への水蒸気の輸送量がより多くなることにより、台風の中心で凝結により放出される熱量も多くなるためです。

台風による湧昇

海の上で長時間一定方向の風が吹くと、地球の自転の影響により、北半球では海面近くの水は風向に対して45度右にずれた方向に移動し、深さとともに輸送量を減らしながら、移動方向はさらに右向きへとずれていきます。風によって引き起こされた海水全体の輸送の向きは、風向に対して直角右方向になります。

これに似た運動は台風によっても生じます。台風のように反時計回りの風が吹くときには、中心付近から外向きに海水が移動します。すると、移動した海水を補うように、深いところから海面よりも冷たい水が湧き上がります(これを湧昇といいます)。台風による湧昇の大きさは台風の大きさや台風の移動の速さによって変化します。台風の移動の速さが遅いほど、湧昇ははっきりと現れます。

台風にともなう湧昇の模式図

台風にともなう湧昇の模式図

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