キーワードを入力し検索ボタンを押下ください。

第2章 気候に関連する海洋の変動

平成25年12月20日

気候とは、気温や降雨などの気象の長期にわたる平均状態であり、異常気象レポート(気象庁,2005)では、おおむね季節より長い期間での平均状態を「気候」と呼んでいる。現在、世界の平均気温は長期の上昇傾向を示しているが、詳しくみると数年から数十年規模の変動も無視できない大きさであることがわかる(図1-1参照)。これは、気候変動の現われ方の一つである。

図1-1 世界の年平均気温偏差 (再掲)

図1-1 世界の年平均気温偏差 (再掲)

細線(黒)は各年の基準値からの偏差を示している。太線(青)は偏差の5年移動平均、直線(赤)は変化傾向を示している。
基準値は 1981~2010 年の30 年平均値。

気温や降水量などの気候値の変動は大気の状態だけで決まるものではなく、大気と接している陸上の植生や雪氷分布、そして海洋の変動も密接に関わっている。このため、大気と海洋・陸面・雪氷を相互に関連する「気候システム」として捉えることが必要である。
海洋は地球表面の約7割を占め、熱容量が大気に比べて約1000倍以上あることから、大気に比べて暖まりにくく冷めにくいという性質をもつ。このため、日々の気象の変化に対して、海面水温の応答は鈍く、大気と相互に影響を及ぼしあいながらゆっくりと変化している。そして、ひとたび水温が高くなると長期間にわたってその状態が持続し、大気の運動に影響を与えることになる。さらに、気候システムの一部として海洋が大気との間で交換する熱や水蒸気の量は膨大なものであることから、海洋は気候システムのなかで最も重要な位置を占めている。例えば、エルニーニョ現象は中部太平洋赤道域から南米沿岸までの広い海域で海面水温が平年に比べて高くなる現象であり、大気と海洋が相互に影響を及ぼしあって発生する。エルニーニョ現象発生時には、熱帯の対流活動が通常と異なる場所で活発となり、この変化は、熱帯域の天候だけでなく、世界中の多くの地域の天候にも影響を及ぼす。また、海洋の表層には大規模な循環があり、例えば黒潮のような暖流は海水とともに大量の熱を低緯度から中緯度へ運び、気候の形成に大切な役割を果たしている。
海洋内部に目を向けると、海洋内部の水温や塩分などの分布には海面を通じた大気との熱や水の交換、あるいは海洋の大規模な循環などが関係している。特に、ある特定の海域や海洋内部には水温や塩分が特有の値や鉛直分布で特徴づけられる海水が広がっており、水塊と呼ばれている。水塊の分布やその性質の変動は、水塊の形成あるいはその移動・混合過程における変動を反映していることから、気候変動のメカニズムを解明する一つの糸口として注目されている。
次に日本近海の海流に目を向けると、代表的なものに黒潮、親潮、対馬暖流がある。その一つである黒潮は、本州南方を東向きに流れる際にさまざまな流路をとっている。黒潮の流路は大きく分けて二つに大別(大蛇行流路、非大蛇行流路)され、いったんどちらかの流路で安定するとしばらくの間その流路をとり続ける。このような流路の変動は、本州南方における水温分布や日本南岸の潮位の変動をともない、漁業をはじめとするさまざまな分野に影響を及ぼしている。
海洋の変動と気候変動との関連、あるいはその変動が生ずるメカニズムについては、まだ解明されていない部分が多く、海洋や気候変動の監視と研究が進められている。
この章では、北太平洋における海洋変動として海面水温・表層水温及び表層水塊の変動、日本近海における海洋変動として海面水温、黒潮、親潮及び対馬暖流、太平洋赤道域における海洋変動であるエルニーニョ現象の状況を診断する

参考文献

  • 気象庁,2005:異常気象レポート2005,383pp.


本文 | 印刷用(PDF) | 更新履歴

印刷用(PDF)



本文 | 印刷用(PDF) | 更新履歴

更新履歴

内容更新

誤植訂正



【コラム】海洋酸性化 <<前へ | 次へ>> 2.1.1 北太平洋の海面水温・表層水温


Adobe Reader

このサイトには、Adobe社Adobe Readerが必要なページがあります。
お持ちでない方は左のアイコンよりダウンロードをお願いいたします。

このページのトップへ