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第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化

平成25年12月20日

世界の年平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)は、1891年から2012年までの122年間で、100年あたり0.68℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる年が頻出している(図1‐1)。このような気温の長期上昇傾向に対して、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(2007)は、20世紀半ば以降に観測された世界の平均気温の上昇のほとんどは、人間活動に伴う温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高いと結論づけている。

図1-1 世界全体の年平均地上気温平年差の経年変化(1891~2007年)

図1-1 世界全体の年平均地上気温平年差の経年変化(1891~2007年)

細線(黒)は各年の基準値からの偏差を示している。太線(青)は偏差の5年移動平均、直線(赤)は変化傾向を示している。基準値は1981~2010 年の30 年平均値。

海洋は、熱や水蒸気、温室効果ガスなどの交換を通じて大気と相互に影響を及ぼしあっている。また、海洋は地球表面の約7割を占め、大気の約1000倍という大きな熱容量をもっている。このため、1961年以降に気候システムに加えられた熱の80%を超える部分は海洋が吸収していると考えられている(図1-2;IPCC,2007)。しかし、大気と比べて非常に多くの熱を海洋が吸収しているにもかかわらず、海洋の温度変化は大気に比べて緩やかであり、上述の世界の平均気温においても、北半球と南半球に分けてみると、海洋の割合が大きい南半球の上昇率が小さいという結果が得られており、海洋は大気の温暖化の進行を大きく緩和していると考えられる。
地球温暖化の海洋への影響には、海水の温度上昇による熱膨張や、陸上の氷の融解などに起因する海面水位の上昇などがある。海面水位の上昇により、砂浜の消失や海岸の侵食、高潮・高波による被害の増加、低地の水没、沿岸の農地・湖沼・地下水への塩害の増加などが考えられ、我が国も例外ではない。また、島しょ国などでは低地の水没によって、国土を大きく失うことも懸念されている。IPCC第4次評価報告書(2007)によると、世界の平均海面水位は1961年から2003年にかけて、年間1.8±0.5mmの割合で上昇しており、21世紀末(2090~2099年)には、1980~1999年の平均海面水位に対して、0.18~0.59m上昇すると予測されている。
また、地球温暖化の影響は、海氷域や陸上における雪氷域の縮小にも現れる。IPCC第4次評価報告書(2007)によると、北極の年平均海氷域面積は10年当たり2.7±0.6%縮小しており、気候モデルによる予測では、北極と南極の海氷は縮小すると予測されている。海氷域や雪氷面は、太陽放射の反射率が海面や陸面に比べて大きいことから、これらの縮小によって、太陽放射の吸収量が増加し、温暖化を加速することが懸念されている。

図1-2  気候システムの各構成要素別の貯エネルギー変化量

図1-2  気候システムの各構成要素別の貯エネルギー変化量

1961年から2003年(青)と1993年から2003年(赤紫色)における地球上の様々な構成要素に蓄えられたエネルギーの変化量。黒太線で示されている誤差推定は90%信頼区間を表す。IPCC(2007)より引用。

海洋は、温室効果ガスのなかでも地球温暖化への影響が最も大きい二酸化炭素を大気中から吸収しており、大気中の二酸化炭素濃度の変化に深く関与している。1990年代の平均では、年間約64億トン炭素が人為的に大気中に放出されている。このうち、約22億トン炭素を海洋が吸収していると考えられている(IPCC, 2007)。
この章では、地球温暖化に関わる海洋の長期変化として、海面水温、海面水位、海氷、海洋の温室効果ガス(二酸化炭素)等について診断する。

参考文献

  • IPCC, 2007: Climate Change 2007: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Fourth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Solomon, S., D. Qin, M. Manning, Z. Chen, M. Marquis, K.B. Averyt, M. Tignor and H.L. Miller (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA, 996 p  


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