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重金属

平成30年2月28日発表(次回発表予定 平成31年2月28日)

気象庁地球環境・海洋部

診断(2017年)

  • 水銀の濃度は、日本海で観測された16ng/kgが最高でした。
  • カドミウムの濃度は、北海道南方で観測された81ng/kgが最高でした。
  • 北西太平洋では、水銀、カドミウムとも自然界のバックグランドレベルにあります。
2017年に観測された重金属濃度(単位:ng/kg)
海域    水銀    カドミウム 観測海域
日本周辺海域 北海道南方 1 28 - 81
日本海 3 - 16 11 - 13
房総半島沖 1 - 2 3 - 18
本州南方 1 2 - 10
東シナ海 1 - 4 1 - 5
北西太平洋 東経137度線
北緯20~30度
1 - 4 1 - 15
東経137度線
北緯5~15度
0 - 4 1 - 3

解説

水銀濃度は、日本海で観測された 16ng/kg [ナノグラム毎キログラム]が最高ですが、この値は環境基準値( 0.0005mg/L [ミリグラム毎リットル]以下)と比較すると、30分の1ほどの低濃度です。

カドミウムの濃度は、栄養塩の豊富な親潮水が分布する北海道南方で観測された 81ng/kg が最高ですが、この値は環境基準値( 0.003mg/L 以下)と比較すると、40分の1ほどの低濃度です。なお、海水中のカドミウム濃度はリン酸塩濃度と高い相関を示すことが知られており、その鉛直分布型も類似しています(坪田, 1987)。北海道南方海域は、リン酸塩などの栄養塩に富む親潮域にあたるので、本州南方のように栄養塩に乏しい黒潮域に比べると、カドミウム濃度は高くなります。

2017年の日本周辺海域及び北西太平洋では、環境基準値を超える濃度の水銀及びカドミウムは観測されていません。

外洋域における水銀及びカドミウムの濃度の自然レベルの値は、それぞれ 0.4~2ng/kg 及び 0.1~110ng/kg の範囲とされています(Bruland,1983)。2017年に気象庁が観測した値の平均をこれらと比較すると、対象としたすべての海域で、水銀はおおむね同レベルか、わずかに高い値ですが、カドミウムは Bruland(1983)によって示された範囲に収まっています。したがって、北西太平洋では、水銀、カドミウムともほぼ自然界のバックグランドレベルにあります。

1990年代後半以降、水銀、カドミウムとも、いずれの海域においても年平均値はほとんど変動していません(総合診断表 3. 3 重金属 表 3.3-1 「1995~2012年に観測された表面海水中の重金属(水銀、カドミウム)濃度」)。

診断基準

ここでは診断の基準として、「水質汚濁に係る環境基準(昭和46年・環境庁告示第59号。平成23年・環境省告示第 94 号により改正)」に示された公共用水域における環境基準値を準用します。

※ 海水1リットルの重さは1020~1030gの範囲にあり、ほぼ1kgとみなすことができます。また、ng [ナノグラム]は10億分の1グラム、mg [ミリグラム]は1,000分の1グラムです。したがって、0.001mg/L がほぼ 1,000ng/kg に相当し、水銀の環境基準値 0.0005 mg/L は、ほぼ 500ng/kg 、カドミウムの環境基準値 0.003 mg/L(平成23年10月27日改正)はほぼ 3,000ng/kg に相当します。

参考文献

  • 坪田博行, 1987: 重金属.海洋大事典.和達清夫監修,第18版,東京堂出版,241-244.
  • Bruland, K. W., 1983: Trace elements in sea-water. Chemical Oceanography, Vol.8., J. P. Riley and R. Chester ed., 2nd ed., Academic Press, New York, 157-220.

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