海氷域面積の長期変化傾向(全球)

平成25年1月31日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2012年)

北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に減少傾向を示しています。特に、海氷域面積の年最小値は減少が顕著で、2012年までの減少率は9.4万平方キロメートル/年となっており、近年は減少率が大きくなる傾向にあります。また、年平均値の2012年までの減少率は5.9万平方キロメートル/年となっています。
一方、南極域における海氷域面積の年平均値は増加傾向を示しており、2012年までの増加率は2.5万平方キロメートル/年となっています。

北極域の海氷域面積の年最小値の経年変化(1979年~2012年)
北極域の海氷域面積の年最小値の経年変化(1979年~2012年)


北極域の海氷域面積の年平均値の経年変化(1979年~2012年)
北極域の海氷域面積の年平均値の経年変化(1979年~2012年)


南極域の海氷域面積の年平均値の経年変化(1979年~2012年)
南極域の海氷域面積の年平均値の経年変化(1979年~2012年)


青色の折れ線は海氷域面積の経年変化を示す(上から順に、北極域年最小値、北極域年平均値、南極域年平均値)。点線は各々の長期変化傾向。



解説

北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に減少傾向を示しています。特に、海氷域面積の年最小値は減少が顕著で、1979年から2012年までの減少率は 、9.4 [7.4~11.3] 万平方キロメートル/年となっており、近年は減少率が大きくなる傾向にあります。また、海氷域面積の年平均値の1979年から2012年までの減少率は、5.9 [5.1~6.7] 万平方キロメートル/年(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)でした。
なお、2012年の海氷域面積の年最小値は、これまでの最小だった2007年の431万平方キロメートルを大きく下回り、1979年以降最小の336万平方キロメートルとなりました。また、2012年の海氷域面積の年平均値もこれまでの最小だった2007年の1058万平方キロメートルを下回り、1979年以降最小の1046万平方キロメートルとなりました。北極域の海氷域面積の年最小値に関する詳細な説明は、「海氷域面積の長期変化傾向(北極域)」及び臨時診断表「 2012年夏季の北極域の海氷域面積」をご覧下さい。

一方、南極域における海氷域面積は、1979年以降、長期的に増加傾向を示しています。海氷域面積の年平均値の1979年から2012年までの増加率は、2.5 [1.6~3.3] 万平方キロメートル/年となっています。
北極域、南極域における海氷域面積の年々変動の要因については各機関で研究が行われており、特に北極域の海氷域面積の減少については、気象の影響の他に海氷の厚さや海水温の上昇などの影響があることが指摘されています。



備考

この「海氷域面積の長期変化傾向(全球)」の診断は、NSIDC(アメリカ雪氷データセンター)提供の観測データを解析した海氷域面積を用いています。2012年10月1日以降の海氷域面積については、速報値の観測データを解析しています。2012年7月1日から9月30日までの海氷域面積については、これまで速報値を解析していましたが、2013年1月31日に確定値を解析した値に更新しました。これにより、今回示した北極域の海氷域面積等は、2012年10月3日に発表した臨時診断表「2012年夏季の北極域の海氷域面積」及び10月19日に発表した定期診断表「海氷域面積の長期変化傾向(北極域)」に記載した値と異なりますのでご注意ください。

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