表層水塊

 太平洋や大西洋、インド洋の各大洋では、ある海域の表層(海面から水深500m程度まで)に、海域に固有の水温や塩分 などで特徴づけられる海水が広く分布し、表層水塊と呼ばれています。
 表層水塊の一つとして、モード水と呼ばれる水塊があります。このモード水は、各大洋の中緯度において、冬季に混合層が周りに比べて深くまで発達する海域で形成されます。 代表的なものに、北半球の亜熱帯循環域の北西部に広く分布する北太平洋亜熱帯モード水と北大西洋亜熱帯モード水があります(下図)。 モード水という名前は、ある海域においてその水温・塩分で特徴づけられる海水の体積が多いことから、 統計学で最頻値をあらわすモードになっている水塊という意味でつけられています。
 また、各大洋の中央部の回帰線付近では、海面からの蒸発が活発なことから高塩分水が形成され、亜熱帯循環の南西部(南半球では北西部)の 表層に塩分極大層として分布しています。この表層水塊は回帰線水と呼ばれており、北太平洋では亜熱帯循環域の南西部に広く分布する 北太平洋回帰線水があります(下図)。
表層水塊の分布
北太平洋亜熱帯モード水 北太平洋回帰線水
表層水塊の分布 (Hanawa and Talley, 2001 に加筆)
Hanawa and Talley (2001)のPlate5.4.3に、北太平洋回帰線水の分布域(緑線で囲まれた領域)を加筆しています。
各モード水に記されている値はポテンシャル密度[kg m-3]をあらわし、黒矢印は亜熱帯循環をあらわします。
赤色は大洋西部、桃色は大洋東部にみられるモード水をあらわし、茶色はその他のモード水をあらわします。

参考文献

  • Hanawa, K. and L. D. Talley, 2001: Mode waters. in Ocean Circulation and Climate, edited by G. Siedler, J. Church, and J. Gould, pp. 373-386, Elsevier, New York.

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