黒潮の数か月から十年規模の変動(流路)

平成27年3月9日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2014年)

  • 1970年代後半から1990年代初めまでは、黒潮大蛇行が頻繁に発生していましたが、それ以降は2004年7月〜2005年8月を除き、非大蛇行の状態が続いています。
  • 2014年の黒潮は、非大蛇行の状態でした。東海沖では1月には北緯31.5度付近まで南下して流れていましたが、7月以降は北緯33度以北を流れていました。11月には九州の東で小蛇行が形成されました。

黒潮最南下位置

黒潮の典型的流路

上図:東海沖における黒潮流路の最南下緯度の経年変動(1961年1月〜2014年12月)
左図:黒潮の典型的流路(1:非大蛇行接岸流路 2:非大蛇行離岸流路 3:大蛇行流路)

東海沖における黒潮流路の月ごとの最南下緯度を細線で、13か月移動平均値を太線で示しています。オレンジ色は黒潮大蛇行の期間を表しています。東海沖(東経136度〜140度)で黒潮が北緯32度以南まで南下した状態で安定していることが黒潮大蛇行の判定の目安になります(下記「黒潮大蛇行とその判定基準について」を参照)。
(※注)この黒潮流路は、深さ200mの水温資料、衛星の海面水温画像等から総合的に判断して決定したものです。

串本浦神の潮位差

串本と浦神の位置

上図:串本と浦神の潮位差(串本の潮位から浦神の潮位を引いたもの)の経年変動(1961年1月〜2014年12月)

串本と浦神の月ごとの潮位差を細線で、5か月移動平均値を太線で示しています。オレンジ色は黒潮大蛇行の期間を表しています。潮位差が小さい値に安定していることは潮岬で黒潮が離岸していることを示し、黒潮大蛇行を判定する目安になります(下記「黒潮大蛇行とその判定基準について」を参照)。

解説

長期変動

黒潮は、1960年代半ばから1970年代半ばまで、非大蛇行の状態でした。それ以降1990年代初めまでは黒潮大蛇行が頻繁に発生していました。その後再び、非大蛇行の状態が2004年前半まで続いていました。最近では、2004年7月〜2005年8月に大蛇行が発生しましたが、その後は、非大蛇行の状態が続いています。

2014年

黒潮は2014年を通じて非大蛇行流路となっていました。 1月の東海沖の最南下緯度は北緯31.5度付近にあり、3月上旬までは八丈島の南を通る非大蛇行離岸流路となっていました。その後東海沖における流路の最南位置は次第に北上し、7月以降は北緯33度以北を流れていました(非大蛇行接岸流路)。
11月には九州の東で小蛇行が形成され、12月中旬以降は都井岬と足摺岬で離岸して流れるようになりました。
なお、黒潮流路の短い周期の変動や最新の状況は、 日本近海の海流(月概況)をご覧下さい。


黒潮大蛇行とその判定基準について

本州南方を流れる黒潮の流路には、大きく分けて2種類の安定したパターンがあります。一方は、東海沖で南へ大きく蛇行して流れる 「大蛇行流路」、他方は、四国・本州南岸にほぼ沿って流れる「非大蛇行流路」と呼ばれているものです。 「非大蛇行流路」はさらに、東海沖をほぼ東に直進し八丈島の北を通過する「非大蛇行接岸流路」と、伊豆諸島近海で南に小さく蛇行して八丈島の南を通過する「非大蛇行離岸流路」に分けられます。「大蛇行流路」を「黒潮大蛇行」と呼んでいます。  黒潮大蛇行を判定する基準として、以下の2つの条件を設定しています。
(1)潮岬で黒潮が離岸している(串本と浦神の潮位差が小さい値に安定していることで判定) (海水温・海流の知識:黒潮「串本と浦神の潮位差」参照)。
(2)東海沖(東経136〜140度)での黒潮流路の最南下点が北緯32度より安定して南に位置している (海水温・海流の知識:黒潮「黒潮大蛇行とは」参照)。
この基準によると、過去の黒潮大蛇行の期間は、以下のようになります。

  • 1975年8月から1980年3月まで
  • 1981年11月から1984年5月まで
  • 1986年12月から1988年7月まで
  • 1989年12月から1990年12月まで
  • 2004年7月から2005年8月まで

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