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暖水渦・冷水渦

暖水渦・冷水渦とは

海の中には、直径が数十km〜数百kmの渦が多数あります。この渦は、周囲よりも暖かいものは暖水渦、冷たいものは冷水渦とよばれます。 特に北海道南方や本州東方の海域では、南の黒潮から切離した暖水渦や親潮から切離した冷水渦などが多数存在しており、非常に複雑な海況となっています。 また、日本の南の海域では、西進する水平スケール数百km程度の暖水渦や冷水渦がみられます。

下の左図は2012年9月の親潮域の深さ100mの水温図です。北緯42度、東経147.5度付近には10℃以上の暖水渦が、北緯40度、東経147度付近には、親潮から切離された3℃以下の冷水渦が、それぞれみられます。 また、図に示した渦以外にも、数十~百kmの広がりをもつ暖水域や冷水域が隣接して存在し、複雑な海況となっています。

下の右図は2008年6月下旬の沖縄周辺海域の深さ400mの水温図で、先島諸島の南の北緯22.5度、東経125度付近に直径数百kmの暖水渦がみられます。この年の5月下旬から8月下旬にかけて、石垣地方の沿岸では潮位が平常に比べて高い状態が続き、最大で+30~+40cmの潮位偏差を観測しました。

2012年7月の深さ100mの水温図 2008年6月下旬の深さ400mの水温図

2012年9月の深さ100mの親潮域の水温図。単位は℃。 2008年6月下旬の深さ400mの沖縄周辺海域の水温図。 単位は℃。

なぜ渦を巻くのか?

北半球では通常、暖水渦は時計(右)回り、冷水渦は反時計(左)回りをしています。

物体が地球表面上を動くとき、地球は自転しているため、北半球では右向きに曲げるような力が働きます。 この地球の自転による力をコリオリ力といいます。

暖水渦では、水温が高いため密度が小さく、海面の高さが周囲に比べて高くなっています。 海水が海面の高い中心部から低い周囲の海域に流れるとき、コリオリ力によって右向きに力がかかるため時計回りの渦を形成します。 一方、冷水渦では海面の高さが周囲に比べ低くなるため、周囲の海域から冷水渦に向かって海水が流れ、反時計回りの渦が形成されます。 この様子を示したのが下の図です。

オホーツク海起源の冷水は塩分が低く低密度のため、海面が高くなるので、力学的には暖水渦と同じになり、時計回りの渦となります。

暖水渦(左)・冷水渦(右)の様子

暖水渦(左)・冷水渦(右)の様子

暖水渦・冷水渦と我々の生活

暖水渦の影響で潮位が高くなり浸水被害が発生したり、黒潮の大蛇行時に岸側に生じる冷水渦により暖水性魚類の漁場が沖合に押しやられるなど、我々の生活にも様々な影響を与えています。暖水渦・冷水渦の発生には海流の蛇行、海底地形、冬季の海上風や海面冷却などが関係するとされていますが、詳しい発生メカニズムは現在のところ不明です。

参考文献

  • 増田章, 2001 : 海洋中規模渦の統計的特性. 数理解析研究所講究録報告, 第1226号, 160-170
  • Sasaki, H., P. Klein, B. Qiu, and Y. Sasai, 2014: Impact of oceanic scale-interactions on the seasonal modulation of ocean dynamics by the atmosphere, Nature Communications, 5, 5636.
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