観測場所の移転に伴う気温データの補正方法について

 このページでは、年平均気温などの長期変化傾向の解析を行う際に扱う、観測場所に移転があった場合の気温データの補正方法について解説します。

補正方法

 気象台などの観測地点で観測場所の移転があった場合、その地点の長期変化傾向を把握するためには、移転の影響を補正した長期間にわたる均質なデータが必要となります。しかし、実際の観測値には、様々な時空間スケールの自然変動や人為的影響(温暖化や都市化)による変動が含まれているため、その補正には注意を要します。
 気象庁では移転の影響によって時系列データに階段状の変動が生じたと仮定して、次のような方法を用いて補正値(階段状の変動に伴う段差)を求めています。対象としているのは、月平均気温、日最高気温の月平均値、日最低気温の月平均値です。

  1. 移転の前に新旧の観測場所で同時に観測が行われた場合(東京が該当)
    それらが同時に観測された値を利用します。
    「東京」の観測場所は、2014年12月2日に大手町から北の丸公園に移転しましたが、各観測場所における2年間(2012年4月~2014年3月)の月別統計値の2年間平均値を求めた上で、両者の値の差を月別補正値としています。詳細は気象庁観測部(2016)をご覧下さい。

  2. 移転にあたって新旧の観測場所で同時に観測が行われなかった場合(東京以外の地点が該当)
    移転が行われた年を中心とした前後8年間(16年間分)※の観測値を利用します。
    まず、移転の影響が無かった全国の気象官署の月平均値から、全国的及び地域的に生じている自然変動や人為的影響(温暖化や都市化)による変動パターンを見積もります。そして、移転のあった観測地点の月平均値は、先に見積もった全国的及び地域的に生じている変動と移転の影響による変動との和であると仮定し、重回帰分析を用いて月別補正値を求めています。詳細は大野ほか(2011)をご覧下さい。

  3.  ※移転したのが最近で、移転後8年経過しない間は次のような対応をしています。

    1. 移転後の経過が5年未満の場合
      補正値を作成しません。
      そのため、この移転前後ではデータが均質ではありません。
    2. 移転後の経過が5年以上8年未満の場合
      扱える年数分のデータを使用して補正値を作成します。

 なお、年や季節の平均値は、この補正された月平均値を統計処理して求めています。

ー参考文献ー

注意事項

  • アメダス地点の補正は行っておりません。

  • 現在補正方法が確立している要素は上記の月平均した気温の3要素のみで、猛暑日などの階級別日数等については確立しておりません。

補足

  • 降水量に関しては、観測場所の移転に伴う影響はほとんどないと考えられているため、気温のような補正は行っておりません。
    (観測値のままで均質なデータとして扱っています。)


 長期変化傾向(トレンド)の解説

このページのトップへ