用語解説


ブリザード

 「ブリザード」はもともとは北アメリカでの激しい吹雪の呼び名ですが、南極の吹雪も同じ名で呼ばれています。ブリザードの特徴は、風が強いばかりでなく、激しい降雪や吹き飛ばされる雪のため、視界が悪くなり、時には1m先すら見えないことがあります。昭和基地は、比較的暖かく風の弱い場所にありますが、それでも低気圧が頻繁に接近し、1年間に平均で約25回、50日程度はブリザードの状態になります。またブリザードになると昭和基地では隊員の外出が制限され、野外での活動は大きく妨げられることがあります。日本の南極地域観測隊では、ブリザードによる視程の状態や平均風速、継続時間によってA、B、Cの強度階級をつけています。


ブリザード階級
階級視程平均風速継続時間
A級100m未満25m/s以上6時間以上
B級1km未満15m/s以上12時間以上
C級1km未満10m/s以上6時間以上


―晴れの日とブリザードの日に同じ場所から気象棟方向を撮影した写真―

(左の建物が気象棟)
晴れの日の気象棟方向 ブリザード状態の気象棟方向

( 44次気象隊員撮影 )



カタバ風

カタバ風

( 36次気象隊員撮影 )

 「カタバ風」はカタバティック風の略語で、斜面降下風のことをいいます。カタバ風は放射冷却で溜まった大陸氷床上の冷たく重い空気が自らの重みで斜面を流れ出す「重力流」となって南極点の東、南極氷床の最も高い標高4,000m付近を起源として四方に流れ出しています。オーストラリア隊によるデニソン岬の観測では年の平均風速が毎秒20mにもなり、毎秒40mの強風が数日間も吹き続くこともあります。昭和基地では年の平均風速が6m程度で風は弱い部類に入ります。